スワップアービトラージはやらない方がいい

外債投資は、国内の債券よりも高い金利収入が得られるからとても魅力的なのですが、為替の変動というリスクがあります。金利収入も為替変動に比べるととても低く為替変動によっては金利収入を受け取りながら収益はマイナスと国内債券に投資をした方が良いという結果になったりします。また債券投資は債券価格も影響してきますから、金利上昇時には債券価格が下がるから途中売却だと損をする場合もあります。外貨預金なら債券価格が下がるということはなく、その点は問題ないけど債券よりも金利が低く為替リスクが大きくなってきます。


為替リスクを回避には為替ヘッジという方法があるけれど


外債投資で為替リスクを回避する方法として為替ヘッジがあります。ただ為替ヘッジは個人では使えないので為替ヘッジ付きの投資信託という形で、為替リスクを回避しつつ外債投資をすることになります。しかし為替ヘッジ付きの投資信託の問題点として全額為替ヘッジをしていないため為替リスクを完全に回避できません。どれだけ為替ヘッジをしているかを表すカバー率というのを見れば60%とか70%ぐらいしか為替ヘッジをしていないのがわかります。完全フルヘッジは可能なんですが為替ヘッジには費用が必要でフルヘッジだとその分費用が増えるからリターンが下がって、投資信託が売れなくなる問題もあり、フルヘッジにはしないみたいです。


完全に為替リスクを回避できてなおかつ高利回りな手法がある


FXにはスワップポイントというのがあって、通貨を保有しているだけで毎日スワップポイントとして金利相当分の現金がもらえます。ただこれは買いのポジションを持っている時だけで、逆に売っている場合はスワップポイントを払う必要があります。買いと売りのスワップポイントには差があって、普通は売りの方が買いよりも大きく両建てにするとマイナスになるようになっています。このスワップポイントが、証券会社ごとに違いがあったりして、A社の買いスワップがB社の売りスワップより高い場合があります。このスワップの差を利用すれば同額A社で買いB社で売ってスワップの差額分で儲かる方法があります。これがスワップアービトラージという方法です。アービトラージとは裁定取引の意味で異なる対象物の差を利用する取引です。


スワップアービトラージのメリット


スワップアービトラージのメリットとして、外国債券の場合金利が上昇すると債券価格が下がって。途中売却だと損をする場合があります。その点スワップアービトラージは通貨だけで、しかも両建てなので、通貨の価値が変動しても取引時から買いと売りの差額が変動しないので価格変動リスクがありません。またFXは24時間取引できますから、好きなタイミングで始められます。差額の金利相当分も国内で預金するよりも高金利で円で預金する感じで投資できるメリットがあります。


スワップアービトラージをお勧めしない理由


ここまで書くとスワップアービトラージがお得な投資に思えますが、いろいろデメリットがあってお勧めしないことにしています。デメリットとして、受け取れるスワップが変動します。昨日もらったスワップと同額が今日も同じ分だけもらえるとは限らず、減額されたりします。場合によっては買いと売りの差額分がマイナスになって逆に損になる場合もあります。スワップポイントは各証券会社によって決め方が違うから、証券会社の都合によって大きく変わったりします。


レバレッジを高くすればリターンを高められる仕組みだけど


もう一つの問題点としてこれはデリバティブ(金融派生商品)になります。高利回りといっても銀行の定期預金に比べればで、売りと買いの両方のポジションを持つため資金効率が悪く、年数%を求めるならレバレッジが必要になってきます。両建てだからレバレッジを高くしても安全と謳っている詐欺サイト等があったりしますが、これはでたらめです。実際にあった出来事ですがある通貨が急激に変動して資金追加が間に合わなくて強制ロスカットになって、その後ある程度戻って強制ロスカットにならない水準に戻った場合があります。この場合はスワップアービトラージだと、片方のポジションが強制ロスカットで清算されて、もう片方は損失を上回る利益を得られていない形で、損をしている状態になります。強制ロスカットを避けるために別に資金を用意をするとなるとその資金の分も含めての利回りを考えると、レバレッジを高めるメリットは低いと言えます。またマイナススワップになるポジションの方はマイナススワップで証拠金比率が毎日減少していきます。だから追証や強制ロスカットを避けるためにも定期的に入金していく必要があり、そういう面倒な手間を考えたら、意外とリターンが低いと思えます。


複雑なものには手を出さないこと


本当にスワップアービトラージが安全で高利回りなものだったら、利用者が殺到してスワップポイントの差が縮まって個人レベルでは高利回りにはならないリターンになっています。実際には過去にいろいろな人が実践してやっていましたが、話題にならずひっそり消えています。高利回りな商品は高利回りになるように複雑な仕組みに組成されていて、その分リスクは不透明です。おいしい話には裏がありますから、どんなリスクがあるかわからないと思い、おいしく見えても複雑なものには手を出さないようにして、堅実に運用することを心がけましょう。








投資メディアサイト

投資に関しての基本的な情報を提供していきます。

0コメント

  • 1000 / 1000